トレーラーハウスの購入を検討している方や既に購入した方も、その設置方法や設置基準についてわからない事も少なくないのではないでしょうか。
車両のはずなのに車両ではなく建物としても扱われる?規定を間違えたら違反になるの?そんなトレーラーハウスの設置に関する基礎知識について整理してみましょう。
INDEX
輸送
トレーラーハウスを指定の場所に設置する為にはまず、工場からの輸送が必要となります。自動車を購入した場合には最寄りのディーラーに自分で取りに行く他、営業マンが自宅まで納車をしに来てくれるといったケースもありますが、トレーラーハウスの場合には設置予定場所まで業者に依頼して輸送してもらうケースがほとんどです。
では具体的にその輸送条件について確認していきましょう。
サイズ
トレーラーハウスの輸送条件では、そのサイズが輸送条件を決める大きなポイントとなります。輸送予定のトレーラーハウスが規定上のどちらのサイズに属するかを予め確認しておく必要があります。
トレーラーハウスのサイズ基準は以下の通りです。
大型トレーラーハウス
道路運送車両の保安基準第2条(長さ、幅、高さ)を超えるものを大型トレーラーハウスと呼んでいます。
- 長さ:
(セミトレーラにあたっては、連結装置中心から当該セミトレーラの後端までの水平距離)12メートル
(セミトレーラのうち告示で定めるものにあっては、13メートル) - 幅:2.5メートル
- 高さ:3.8メートル
上記以外のトレーラーハウス
大型トレーラーハウスに該当するのが、「車両全長12メートルまたは車幅2.5メートルまたは全高3.8メートルのうちいずれかを超える車両」ですがそれ以外の車両がいわゆる一般的な、“大型でない”トレーラーハウスに該当します。
輸送条件
大型トレーラーハウスとそれ以外のトレーラーハウスのサイズ規定について紹介しましたが、それぞれの具体的な輸送条件について確認していきましょう。
大型トレーラーハウス
保安基準第2条の規定サイズを超える、いわゆる“大型”と言われるトレーラーハウスは、輸送時には「基準緩和認定」及び「特殊車両通行許可」の両方を取得してからの運搬が必須となります。
これらの認定・許可の取得には3カ月程かかる場合もあり、トレーラーハウスの購入が決まった際には予め取得申請を行っておく必要があります。
これらの認定・許可を受けた車両は、運行時間帯や運行速度の指定を遵守した上での輸送が必要となりますので、限られた時間内(通常は午後9時~翌午前6時の間)での輸送が行われます。また、高速道路を使う事はできません。
大型以外のトレーラーハウス
大型以外の一般的なトレーラーハウスの輸送には、特別な輸送制限などはありません。しかしトレーラーハウスはエンジンを積載していない自走ができない車両ですので、牽引車による牽引が必要です。また、自走せず牽引されるだけの場合であっても車検の取得が必要である点に注意しましょう。
牽引に関する諸条件・規定もありますので、輸送を行うトレーラーハウスや牽引する側の車両などの条件は予め確認しておく必要があります。
通常は購入先にて設置までの手配を依頼するケースが多く、トレーラーハウスを扱う業者側が規定に従い対応してくれる場合がほとんどです。
トレーラーハウスの設置
トレーラーハウスを購入し、車両を輸送した後はどこにどのように設置するのかお決まりでしょうか。トレーラーハウスは自動車でもあり、建築物になる可能性もあります。輸送時と同様に設置時もいくつかの規定に従いそれぞれの基準に沿った扱いで設置・所有する必要があります。では、詳しい条件などを具体的に確認していきましょう。
「車両」・「建築物」
トレーラーハウスは、その設置環境により「車両」とみなされるか「建築物」とみなされるかが異なります。
「車両」の扱いとして設置する為の条件は以下の通りです。
- 随時かつ任意に移動できる状態で設置し、それを維持継続すること。
- 土地側のライフラインとの接続が工具を使用しないで着脱できること。
- 適法に公道を走れること。
建築基準法第2条第1号で規定する「建築物」ではないものとしてトレーラーハウスを使用する場合には、上記にあるような日本建築行政会議が定めた「車両を利用した工作物」に該当する為の条件を満たす必要があります。
これら、「車両である為の条件」を満たしていないものに関しては「建築物」としてみなされる事になり、建築基準法第2条第1号で規定する「建築物」としての決まりを遵守する必要性が生じます。(設置時の建築申請や、不動産取得税、固定資産税の支払いなどが発生)
土地
家を建てる場合には、土地の地盤調査が必須である他、行政上の建築禁止エリアを考慮しなくてはならない等、様々な制限があります。
トレーラーハウスの設置にあたっては、先に述べた「車両」か「建築物」のどちらに該当するかによって設置する土地の条件が異なります。
「建築物」の場合
トレーラーハウスを「車両」として設置する為の条件を満たす事ができない場合には「建築物」の扱いになる訳ですが、この場合には「建築物」の決まりを遵守して設置しなくてはなりません。
「用途地域」と呼ばれる、地域ごとに設けられた建築制限を考慮する必要もありますし、例え自分の家の庭に設置する場合でも、建築物と認定されてしまえば固定資産税の試算対象となるといった様な「建築物」ならではの規定対象になります。
「車両」の場合
建築物に該当しないトレーラーハウスがいわゆる「車両」として所有する事のできるトレーラーハウスですが、この場合には設置する土地に関し、大きな制限は基本的にありません。
通常であれば建物を建築する事のできない市街化調整区域にも設置する事ができますし、基本的には細かな用途地域の条件を考慮する必要もありません。
地目が農地の場合には、農地転用して地目を変える必要がありますので、その点だけは市町村の農業員会などに相談が必要です。
ライフライン
トレーラーハウスの設置に伴う必要事項の一つとして挙げられるのがライフラインの構築です。電気やガス、水道などは一般的な住宅と同様に公のライフラインを引く事が出来るというのもトレーラーハウスの大きな特徴です。もちろん、下水への接続による排水環境、浄化槽への接続も可能です。ただし、ライフライン整備の際には以下の点に注意しましょう。
- 「車両」として所有する場合には“工具を使用しないで着脱できる”という条件を遵守する事
- ガスについてはプロパンガスのみの利用である事
トレーラーハウスを設置する際にこういったライフライン環境も同時に整えてしまうのが一般的ですが、設置場所を管轄する地域の専門の業者に依頼しても良いですし、トレーラーハウスを購入した業者や輸送を担当した業者などが提携業者に依頼、または直接対応可能な場合もあります。
住所
トレーラーハウスを設置した場合には、その場所を住所として登録する事もできます。住民票をおく事も可能ですので、事業などで使う場合には嬉しいメリットとなります。
郵便受けを設置し、郵便物や宅配便を受け取る事も可能であり、設置時に管轄の役所に確認・申請を行います。
移動
トレーラーハウスは、キャンピングカーやキッチンカーなどと異なり自走のできない車両ですので、基本的には同じ場所に長時間設置されたままを想定しているケースが多いです。
しかしイベント利用での活用や事業利用時の拠点移動等により移動が生じるケースもある事かと思いますので、そういった場合の注意点などについて見ていきましょう。
移動先、輸送条件
既に設置してあるトレーラーハウスを別の場所に移動する場合でも、これまで紹介してきたような輸送条件や設置条件が適応されます。
大型トレーラーハウスであれば、有効となる「基準緩和認定」及び「特殊車両通行許可」が必要で、その条件に準じた輸送を行わなければなりませんし、大型以外のサイズで牽引を予定している場合には有効な「車検」を取得している必要があります。
移動先の土地については同様に、「車両」であるか「建築物」であるかによって条件が異なりますので予め確認しておきましょう。
撤去
移動とはまた異なりますが、使っていたトレーラーハウスが不要になった場合には、廃車の手続きを行うよりも、トレーラーハウスの専門業者への買取り依頼がオススメです。
トレーラーハウスは現在、需要が非常に多く中古市場も買い手が充実しています。また、内装や外観はリフォームしやすく、次のユーザーがニーズに合わせてカスタマイズしやすいのも特徴です。不用になった場合にはまず、専門のトレーラーハウス業者に依頼を行いましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。トレーラーハウスの輸送や設置に関する基礎知識について紹介してきました。
サイズや設置条件によって該当する規制が異なるトレーラーハウスは、設置して落ち着いて利用を開始するまでの手続きや流れが少々特殊で複雑とも言えます。
しかし、自分のニーズに合わせ環境にマッチするようにそれらの条件さえクリアすれば非常に使い勝手の良い魅力的な空間を手に入れる事ができます。
購入先のトレーラーハウス業者に相談するのももちろん良いですし、見学に足を運ぶなど各種情報を仕入れて失敗のないトレーラーハウスライフが送れるよう、楽しんでくださいね。