夢の移動式マイホーム「トレーラーハウス」を手に入れる為の準備とは

「トレーラーハウス」という言葉を耳にするようになったのはここ数年の事ではないでしょうか。特にアメリカなど海外では当たり前の様に住居等に使われておりメジャーですが、日本ではあまり知られてきませんでした。
ですが2011年に発生した東日本大震災やその後の自然災害の被災地の避難所として活用され始めた事から注目が高まり、現在では事業用以外の一般家庭にも需要が高まっています。
では早速、そんなトレーラーハウスを手に入れる為の必要情報や基礎知識について紹介していきましょう。

トレーラーハウスとは

移動のできる家、ミニマリストさんのコンパクト住宅、あるいはキャンピングカーの代わりとしてトレーラーハウスを検討している方も多いのではないでしょうか。
ですがトレーラーハウスはその用途も実に幅広い事から、なかなか自分の目的に合わせた条件や規定などを探すのが難しい傾向にもあります。
ここでは、トレーラーハウスを住居として使いたい方向けに基本情報を紹介していきます。

車両なのか建築物なのか

結論から申し上げますと、トレーラーハウスは“条件を満たしていれば車両”の扱いになります。その条件は非常にわかりやすいものと言えます。

  • 随時かつ任意に移動のできる状態で設置されており、その状態を維持継続できること
  • 電気、ガス、水道、電話などのライフラインとの接続が、工具を利用しない脱着式タイプであること
  • 適法に公道を走る事ができること

といった項目が定められています。
これらの条件を満たす事ができない場合には建築基準法上の「建築物」とみなされる事になります。

車両であるか建築物であるかどうかで、そこに掛かる税金なども変わりますので十分に検討する必要がありますが、基本的には“車両でありながら快適な住居として使う事ができる”というのがトレーラーハウスの大きなメリットの一つと言われています。

設置場所

住居としてトレーラーハウスを利用したい場合、その設置場所について制限などがあるのかが気になりますよね。先に述べた通り、条件を満たしていれば基本的には「車両」の扱いになりますので設置場所の制限はありません。あえて言うのであれば一般的な自動車と同様に路上駐車など道路交通法に反するような事はNGであるという事です。

車両である事のメリットとして挙げられる具体例には、市街化調整区域にも設置ができるという点が挙げられます。
通常、市街化調整区域には建築物を建てる事が出来ません。一般住居についても漏れなく、基本的には建築不可となります。ですがトレーラーハウスなら通常であれば建物を建てる事のできないエリアに設置をする事がきるので落ち着いたエリアに生活拠点を置く事ができます。

ライフライン

トレーラーハウスを住居として使いたい場合に多く質問に挙がるのが、電気やガス、水道といったライフライン関連についての事項です。
キャンピングカーでもトイレやキッチンの設備が備わっているものが多くありますが、トレーラーハウスのそれはまた設備環境が異なります。
というのも、電気・ガス・給排水について一般的な戸建て住宅と同様に公共のライフラインをトレーラーハウス本体の設置場所まで引いて契約をする必要があるのです。
ただし「車両」である条件を満たす為に、接続部分は脱着式の簡単なものにする必要があります。頻繁に移動をしたい方にはキャンピングカーのように専用設備を積載する方が向いている可能性もありますが、住居としての利用を検討している場合には使い勝手の良いポイントかと思います。

セキュリティ

一般的な住宅と比較するとサイズもコンパクトで簡易的な作りのようなイメージもある事から、住居として使うにはセキュリティ面が心配と思われる方も多いかと思います。
ですがトレーラーハウスは2×4工法という一般住宅と同様の工法で組み立てられており、耐久性も備えている上いわゆる“もろさ”とは無縁と言えます。
更に、追加で申し込みを行う事で警備会社のセキュリティシステムに加入する事ができるので安心です。

住居として使う為の準備

トレーラーハウスの基本事項を把握したところで、早速その活用方法や必要な準備について見ていきましょう。

設置場所

トレーラーハウスは「車両」の扱いになるので、家を建てる時のような建築許可を取るといった必要はありません。ですが公道や私有地など、自分が所有している土地以外の場所に設置する事は違法になりますので注意が必要です。

設置する土地の地質については、戸建て住宅を建てる時のような地盤調査や地盤改良は基本的に必要ありません。農地として使っていた場所、田畑など強固とは言えない場合にはある程度の補強が必要にはなりますが、土地さえあれば設置が可能と言えるでしょう。

また、市街化調整区域にも設置できるのがトレーラーハウスのメリットです。基本的に申請は必要ないとされますが、条例で特別に制限を設けている地域もありますので念のため事前に確認しておくと安心です。

けん引

トレーラーハウスは「車両」であり、タイヤがついてはいますがエンジンを搭載していないので自走する事はできません。牽引車両でけん引する事で移動が可能です。
販売業者からトレーラーハウスを購入後は、希望の設置場所まで業者が輸送し、設置までの作業を完了してくれるのが通常の流れになりますが、その後自身で移動させたい場合には適法に公道を走る事ができるように牽引車とドライバーを手配する必要があります。
自家用車で、牽引免許を持たずにトレーラーハウスをけん引して移動させたい場合には、定められた牽引条件を満たす必要があります。

  • けん引されるトレーラーハウスが牽引車両の車両重量の半分以下の重量であること
  • けん引車両とトレーラーハウスを連結した時に前から後ろまでの全長が12mを超えない事
  • トレーラーハウスと積載物の総重量が750㎏未満であること
  • けん引用の専用パーツにて連動していること

750㎏というとコンパクトなキャンピングカーのようなサイズ感のトレーラーをイメージしていただけると良いかと思います。設備を多く積載するとそれだけ重量が重くなりますので注意が必要です。

ライフライン

トレーラーハウスでは、一般家庭と同様のライフラインを利用する事を紹介しましたが、設置場所によっては水道の元配管が近くまで通っていないケースもあります。
現在暮らしている住居の庭に設置するなどのケースでは問題ないかと思いますが、市街化調整区域など元々のインフラが整っていない地域ではまず設置場所まで配管を導入する為の工事費用が発生する場合があります。
管轄の市区町村により現状や工事費用は様々ですので設置場所が決まった段階で確認しておくと安心です。

住民票

トレーラーハウスを本格的な住居としてこれから活用していきたい場合には住民票を置きたいという方もいらっしゃるかと思います。建築物の扱いではないものの、トレーラーハウスを設置しておくその土地の場所に住所が存在している場合には、住民票をその住所に置く事も可能です。※

また、郵便受けを設置して郵便物を受け取る事もできますので一般的な住居と同様の扱いで居住する事ができます。

(※一部自治体ではトレーラーハウスの設置に伴う住民票の申請に制限を設けている所もありますので事前確認をオススメ致します。)

まとめ

いかがでしたでしょうか。トレーラーハウスを住居として利用したい方向けの基礎知識やお役立ち情報について紹介してきました。
どのような使い方を検討してトレーラーハウスを選ぶのか、その用途は様々です。使い勝手が良く様々な環境に適したトレーラーハウスだからこそ、それぞれの使用条件に応じた最適な情報を収集し、トレーラーハウス選びに役立てていただければと思います。