話題のトレーラーハウスで始める「民泊」のススメ

外国人観光客の増加や東京オリンピックの開催が決まってからは特に注目されている「民泊」という言葉ですが、その概念は都心だけでなく全国的にも段々と普及しつつあります。

ここでは、話題のトレーラーハウスを活用した民泊について紹介していきます。

民泊

“誰かの家に泊まる事”“安く泊まれる共同住宅”そういったイメージのある「民泊」ですが、実際にはどのような条件でどのような宿泊をする事を「民泊」と言うのでしょうか。その定義や条件について確認していきます。

民泊の定義

「民泊」とは元々、一般の民家に泊まる事を指していましたが、その始まりは今から何十年も前にさかのぼります。交通機関や宿泊施設が今の様に整っていない時代の日本では、日が暮れて宿を探す人に無償でご飯を作る他、寝床を提供するといった事も珍しくはない、助け合いが普通とされる世の中でした。

それが段々と環境や時代の移り変わりによって次第に、田舎の農家さんが都会の人向けに農業体験や古民家への宿泊などを通して“田舎の良さを感じてもらう”といった宿泊体験を「民泊」と呼ぶようになりました。

更に2000年代に入るとインターネットの普及に伴い、ネット上の仲介サイトを通じて個人宅や投資用マンションなどを外国人観光客や宿泊希望者に貸し出すという新しいビジネスが始まり、こういった宿泊スタイルを総じて「民泊」と呼ぶようになりました。

民泊の法律

法規制が追い付かないまま普及した「民泊」のルールを定める為に、日本では2018年(平成30年)に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が開始されました。

通常であれば、宿泊料を徴収して人を宿泊させるという営業は「旅館業法」によって営業許可を取得しなければならないと定められていますが、実際は一般の住宅が旅館業の許可を取得する事は簡単な事ではなく、無許可で民泊を行うケースが問題視されていました。

セキュリティ面や騒音、ゴミ出しなどの問題で近隣トラブルに発展する事も少なくなく、そういったトラブルを防ぐ為にも「住宅宿泊事業法(民泊新法)」では、民泊営業を始めるにあたり様々な規定を設けており、それらの条件をクリアする事が民泊営業を行うにあたっての順守事項として定められています。

民泊事業の条件

上記でお伝えしたように、民泊の為に宿泊場所を提供する事業を始める場合には「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の各種規定に則った環境を準備する必要があります。
代表的な例をいくつか見ていきましょう。

都道府県知事等への届け出が必要

民泊を行う(自身の所有する家を宿泊所として有料で提供する)場合には、都道府県知事あるいは保健所を設置する市・特別区など、各地域の定められた届け出先に「住宅宿泊事業者」としての届け出を行う必要があります。

年間180日以内の制限

各都道府県の条例により、180日よりも更に厳しく制限されている場合もありますが、民泊においては年間の宿泊制限を180日までと定めています。

要件を満たした住宅であること

民泊を営むにあたり、その宿泊地となる住居はいくつかの要件を満たしている必要があります。

◇居住要件(いずれかに該当する必要あり)

  1. 現に人の生活拠点として使用されている家屋
  2. 入居者の募集が行われている家屋
  3. その所有者、賃貸人、転借人の居住用として随時供されている家屋

◇設備要件

宿泊地となる家屋には「台所」「浴室」「トイレ」「洗面設備」が設けられている事

これらの居住要件・設備要件を満たしている事が民泊営業上の満たすべき条件として規定されています。

住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置義務

  • 非常用照明器具の設置
  • 避難経路の表示
  • 宿泊者名簿の備え付け
  • 宿泊者の衛生確保の措置
  • 騒音防止やごみ処理等に関する必要事項の説明
  • 表札の掲示
  • 近隣からの問い合わせ、苦情への迅速な対応

記載したこれらの内容は定められている条件のうちの一部ですが、上記のような細かい内容が民泊における義務として事業者側に課せられています。それら全てを満たした上ではじめて、民泊営業を始める事が許可される仕組みになっています。

納税義務

民泊を始めるにあたり、宿泊料として設定する金額は個々の事業主に委ねられています。その代わり、部屋を貸す事で得た料金は収入の扱いになりますので、例え民泊が副業だったとしても控除範囲外の収入となれば確定申告などで申請を行う必要があり、納税の義務が生じる事になります。

トレーラーハウス×民泊

ここまで、民泊の基礎知識について紹介してきましたが、ここからはいよいよトレーラーハウスを使った民泊について紹介していきます。

トレーラーハウスの特徴

トレーラーハウスの最大の特徴は、それが建築物ではなくあくまでも「車両」として扱われるという点です。

建築物ではなく車両の扱いである事から建築条件や税制面でも得をする事が多くあります。

また、車両というくらいですからトレーラーハウスには車輪がついており、通常の建築物ではできない“移動する”という動作が出来るようになっています。

お風呂やトイレ、キッチンなどの室内設備についても、キャンピングカーのような簡易的なものではなく、公共のライフラインを使った一般的な住宅や旅館等と同様のものを使う事ができる点がポイントです。

トレーラーハウス民泊のメリット

トレーラーハウスの特徴を活かした、トレーラーハウス民泊のメリットとは一体どのような点にあるのでしょうか。

建物を建てる事ができない場所に設置できる

トレーラーハウスはその設置条件を満たす事で建築基準法上の建築物には該当せず、あくまでも「車両」として扱われます。その為通常であれば建物を建てる事のできない“市街化調整区域”でも民泊を始める事ができる点が多きなメリットと言えます。水道やガス、電気といったライフラインさえ整っていれば、建築確認申請などのコストや時間を大幅に削減した上で民泊を始める事ができます。

初期費用を抑える事ができる

今住んでいる家をそのまま民泊に転用するのであればそれほどコストはかかりませんが、事業として民泊をスタートさせようと考えている場合にはその物件探しや土地購入、整備や建築などで初期費用がかさみます。

しかしトレーラーハウスであれば民泊用に各種室内設備を搭載したモデルを、家を購入・建築するよりもはるかに安価で準備する事ができます。

維持費が安く済む

先にもお伝えした通り、トレーラーハウスは建築物ではなく車両の扱いである事から“固定資産税”が基本的にはかかりません。自動車用の車検を取得・継続する場合には自動車税などの税金は発生するものの、固定資産税と比較すれば納税金額ははるかに安く抑える事ができます。

簡単に移動できる

タイヤのついたトレーラーハウスは、エンジンを搭載していないので自走はできないものの牽引車両でけん引を行う事で好きな場所に移動する事ができます。

例えば立地が悪くて事業が思ったよりも上手くいかない場合や、近隣とのトラブルが多くなってしまった場合にも、他に良い土地を見つけた時点で比較的気軽に移動させる事ができるというリスク回避が望めます。

増改築が可能

一般的な住居の場合、それが賃貸であれば尚更、室内のリフォームや増改築は簡単にできるものではありません。しかしトレーラーハウスであれば内外装のリフォームはDIYの知識があれば多少は自分で行う事もできる事から、土地の広さやお客様からのニーズに合わせて増築や改築を行う事もできる点がポイントと言えます。

敷地の中にトレーラーハウスを複数台設置し、それぞれに異なったスタイルを施す事で客層を絞った民泊スタイルを追求する事もできます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ここでは、トレーラーハウスを使った民泊の特徴やメリットについて紹介してきました。民泊には様々なルールや基準が定められていますが、それをクリアする事で普段持て余している空間を民泊施設として提供する事もできます。

もともと海外では住居として使われているトレーラーハウスは、その内外装にもこだわった上で快適な住環境を構築し、宿泊施設に最適な環境を提供する事ができる点が魅力です。

1台を使うでも良いですし、複数台を使って民泊事業として立ち上げる事もできるかと思います。新しい時代の新しいスタイルとして、トレーラーハウス民泊に一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。