近年、需要が高まっているトレーラーハウスですが、調べてみるとそのメリットは様々で、事業者向けの用途としても幅広く活用されています。
では実際に、トレーラーハウスがどのような場面で使われているのかを紹介していきます。
INDEX
トレーラーハウスの基礎知識
事業用でトレーラーハウスを使いたい場合でも、特別事業用のモデルがある訳ではなく、考えている用途やニーズによってサイズやデザイン、そして必要な設備を決めていく事になります。まずはトレーラーハウスの基本事項について確認してみましょう。
「車両」か「建築物」か
トレーラーハウスのメリットとしてよく挙げられるのがその利便性の高さを兼ね添えているにもかかわらず「車両」の扱いであるという点です。
「車両」であることで建築基準法の規定対象にはならない事から、「固定資産税がかからない」「市街化調整区域にも設置する事ができる」などのメリットを得る事ができます。建築物にならない為の条件は下記の通りです。
- 随時かつ任意に移動のできる状態で設置されており、その状態を維持継続できること
- 電気、ガス、水道、電話などのライフラインとの接続が、工具を利用しない脱着式タイプであること
- 適法に公道を走る事ができること
トレーラーハウスのサイズ
トレーラーハウスのサイズは、ある程度の規格が用意されてはいるものの法的に定められているサイズなどは特にありません。フルオーダーなら希望のサイズで注文する事が出来るケースもあります。
本体のサイズに規定はないものの、トレーラーハウスは基本的には「車両」の扱いであり実際にタイヤも付いていますがエンジンを搭載しているわけではないので、大型牽引車による牽引で移動・設置が行われる事から、実際に設置を希望している場所までに通る道幅などの道路事情にはよるものの、保安基準第2条の制限(車幅2.5m/全長10.2m/高さ3.8m)を超える場合には、運輸局で基準緩和の認定を受けた上で更に道路局で特殊車両通行許可を取得し、定められた条件下で輸送する必要があります。
ライフライン
トレーラーハウスのライフライン(電気、ガス、水道)やテレビ、アンテナ、電話線などの手続き、接続については一般的な建物と同様に公共のものを契約して利用します。電気やガス、水道については新しい物件に住む時と同様に自分で開設の手続きが必要です。ガスについてはトレーラーハウスの設置条件の面から都市ガスではなくプロパンガスになります。
一般家庭と同様の設備を使う事にはなりますが、その接続方法がトレーラーハウスの場合には決められた基準があり、“工具を使う事なく簡単に脱着ができる”事が条件となります。この基準を満たす事ができない場合には「車両」ではなく「建築物」になります。
トレーラーハウスの活用事例
トレーラーハウスはサイズや設備はもちろん、内外装のデザインも用途に合わせて幅広く選ぶ事ができます。ここでは、具体的にどのように使われているのかを紹介していきます。
宿泊施設
今最も注目されていると言えるのがトレーラーハウスを使った宿泊施設です。大型のトレーラーハウスを開放感あふれる敷地に設置すれば、離れのようになり他の人の目を気にする事なく快適な時間を過ごす事ができます。キャンプ場などのアウトドア施設の敷地内にログハウスの様に設置されるケースも増えてきており、気軽にグランピングを楽しみたい方や多くの人との接触は避けて身内のみで安心して旅行を楽しみたい方にも人気です。複数のトレーラーハウスを設置し、ペット同伴可能車両を作るなど工夫をする事で幅広い層のお客様のニーズにこたえる事ができます。
移動販売車
キッチンカーと呼ばれる飲食店の移動販売車としてもトレーラーハウスが使われるケースが増えてきました。移動販売車とは言うものの、トレーラーハウスはそれほど頻繁な移動は想定されていません。その為、出店後はその場所に一定期間留まる見込みがあるケースなどに適していると言えるでしょう。
トレーラーハウスを飲食店の販売車両として使うメリットは外観の融通が利く点や、調理に必須である電気・ガス・水道といったライフラインが一般家庭と変わらないしっかりしたものである点です。
また、店舗用の賃貸物件を探して出店するよりも自分が希望するエリアに気軽に出店できるのが魅力です。トレーラーハウスを使ってまずはお試しで事業をスタートさせ、軌道に乗ってきたタイミングで本格的に物件を探して店を構えるという選択もできます。
使わなくなったトレーラーハウスは中古市場でも需要がありますので、手放す事を決めた際にも次に何かを始める為の軍資金集めにつながります。
直売所・固定店舗
上記のような食料品の販売にももちろんニーズがありますが、産直野菜などの直売所や旬シーズンだけ開く果物や名産品などの販売所としても便利に使う事ができます。道の駅などに設置して月ごとに変わった店舗を誘致するのも一つの案ですし、限られたスペースに適したサイズで設置する事ができる点もトレーラーハウスを活用する一つのメリットと言えます。
事務所
在宅・テレワークが普及しているこの時代にニーズが高まっているのが事務所としてのトレーラーハウスの利用です。社員の出勤日数や出勤人数が減った事で広々としたオフィスが不要になった会社様にもオススメです。
ライフラインを整え、電話回線も引く事ができるので簡易オフィスのようにトレーラーハウスを使う事ができます。市街化調整区域にも設置できる事から、人が密になる場所から少し離れた郊外への設置も可能である事から公共交通機関の移動を避けて車通勤をする事もできます。
その他、ネット事業がメインの自動車販売会社や新築住宅・マンションの販売会社などがオフィスとして利用するケースも増えています。
教室
事務所利用と似ている部分がありますが、ピアノ講師や英語講師や塾などを開講する場合に自宅庭スペースや自宅近く、学校の近くで教室を始めるのにはトレーラーハウスの設置が最適です。固定資産税がかからない点もメリットですし、防音仕様にすれば近隣トラブルも避けられます。自宅とは雰囲気を変えた専用の空間で教室を開くのは憧れのライフスタイルと言えるでしょう。
美容室・ネイルサロン・マッサージ店
美容室やネイルサロンの開業にもトレーラーハウスが人気です。しっかりとしたライフラインを引く事ができるのももちろんですが、考えている広さやデザインを自分の思う通りに実現する事ができる点が魅力であり無駄もありません。
現在店舗で働いている方の独立にもトレーラーハウス経営はオススメです。リース式のトレーラーハウスにすれば資金面でも初期コストを抑える事ができますし、今すぐに開業したいといったニーズにもマッチする事でしょう。美容関連事業の用途に特化した設備や内装のトレーラーハウスもあります。
待合室
自治体からの依頼で増えているのが待合室です。本数の少ない電車の駅やバスの待合室としてトレーラーハウスが採用されるケースが増えてきました。
断熱性能を備えたつくりにすれば、冷暖房機器を設置しなくてもある程度の環境には耐えられます。もし冷暖房を設置する場合でも一般的なライフラインを利用する事ができますので安心です。
倉庫
普段使いをせず、倉庫として利用する事もできます。タイヤがついている為設置時は高床になり虫害などのリスクも低減されますし、高い耐久性を兼ね備えた外装や耐震性能で保管する荷物も安心です。市街化調整区域に建築許可なく設置できる事から、地価の安い土地を手に入れた上でトレーラーハウスを設置する事ができる点もメリットと言えます。
集会所・避難所
自治会などの集会所にもトレーラーハウスが活用されています。住居ではないものの定期的に人が集まる場所としてスペースが欲しい場合には、わざわざそこに建物を建てるのにはコストが高くなります。そんな時にトレーラーハウスなら、初期費用を抑えてニーズに合わせたサイズで快適な空間を構築する事ができます。
もしもの時の避難所としてトイレだけ設置しておくなどといった使い方もできます。トレーラーハウスが注目されるきっかけとなった、東日本大震災での避難所の様子は記憶に新しいのではないでしょうか。
シャワールーム・トイレ
運動場やキャンプ場などで多く使われるのがシャワールームやトイレに特化した用途で使われるトレーラーハウスです。常設はもちろん、イベント会場や夏場の海水浴場など一定期間のみの設置も気軽にできるメリットがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。トレーラーハウスの活用事例についていくつか紹介してきました。
これから事業をはじめようと考えている方にも、今行っている事業をもっと良いものにしたい方にも、住みやすい街づくりに貢献したい場合にも、トレーラーハウスはそれぞれの環境に合わせて便利に使う事ができる魅力的な空間を兼ね添えています。
わからない事は専門の窓口に問い合わせを行う事で細かくサポートしてもらう事ができますし、場所によっては現在使われているトレーラーハウスの活用状況を実際に見学する事もできます。トレーラーハウスを使って是非新しい環境を手に入れてくださいね。