トレーラーハウスは、定められた設置条件さえ遵守すれば建築物とは見なされず、車両として扱われる注目の空間です。固定資産税がかからない上、その空間の自由性を生かし様々なシーンで活用されていますが、特に人気が高いのが「事務所利用」「カフェなどの飲食店利用」です。
今回は、これからトレーラーハウスをそういった用途で利用しようと思っている方向けに商用利用におけるメリットやデメリットについて紹介していきます。
INDEX
トレーラーハウスの事務所活用
トレーラーハウスを事務所として活用する事業者はどんどん増えてきています。
リモートワークが主流となり、大型のトレーラーハウスをコワーキングスペースに改装して提供する“貸し出す”事業者も増えましたし、都市部に賃貸でオフィスを設けていた事業者が、従業員がリモートワークに移行したことでオフィスを撤収し、トレーラーハウスを拠点にするケースもあります。
事務所利用のメリット
「事務所」として利用するケースにも色々あるトレーラーハウスですが、具体的に考えられるメリットには次のようなものが挙げられるでしょう。
- フレキシブルに場所を選べる
- トレーラーハウスならではのデザイン性を楽しむことができる
- フレキシブルなスタイルを維持できる
- 税金の負担が少ない
- 低コストで事務所運営ができる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきます。
フレキシブルに場所を選べる
トレーラーハウスは、定められた設置基準を遵守することで法律的には「車両」と扱われます。つまり、再建築不可の土地や市街化調整区域にも設置することが可能です。
また、建ぺい率や、容積率、耐火基準などと言った制限を受けずに、有効的に事務所として活用することができます。
さらに、トレーラーハウスなら比較的気軽に移動もできますから、設置したその場所をすぐに更地に戻すことができるため、借地などと言った建築条件のハードルが高い土地でも可能性を開拓することができるのも魅力です。
トレーラーハウスならではのデザイン性を楽しむことができる
トレーラーハウスは、所有者の方々の好みをオーダーメイドでデザイン追求することができます。
内装・外装のデザインに拘りをもつのはもちろんのこと、水道、電気、ガスなどのライフラインの接続も自在に出来、より効率のいい事務所作りを実現させることができます。
フレキシブルなスタイルを維持できる
また、トレーラーハウスの大きなメリットはフレキシブルなスタイルを維持できることです。
ここで言うスタイルとは柔軟性のことで、例えば事業において取引先が離れた場所に集中してしまった場合、本来賃貸物件を借りているのであれば事務所移動などは大がかりですから簡単には実現することができず、従業員の負担になる場合もゼロではありません。
しかしトレーラーハウスなら可能に「移動」することができるのです。
事務所をフレキシブルに移動できることは、運用リスクを最小限に留めることができると言えるでしょう。
また、事務所が必要ないと思えば、畳んでしまうことも可能です。物件の原状回復費用などにかかる無駄なコストも最小限に抑えることができます。
税金の負担が少ない
トレーラーハウスの事務所は不動産ではなく自動車扱いであるため、固定資産税や不動産取得税がかかりません。
さらに、トレーラーハウスの事務所は、減価償却期間が通常4年と短いため、不動産と比較して大きく節税をすることができます。
車検対応タイプでは自動車税、自賠責保険、車検費用など、自動車と同様の税金がかかりますが、建物と比較すると負担は少ないと言えるでしょう。
低コストで事務所運営ができる
トレーラーハウスの事務所であれば、建物を建てる場合にかかる費用や時間をカットすることができます。基礎工事や、建築確認申請など、面倒に思う手続きは必要ありません。ですから、設置したすぐその日から、事務所運用をスタートすることができます。
トレーラーハウス×飲食店運営
飲食店を経営したいと思っているけどなかなかスタートできないというケースで最も大きなハードルとなるのは、店舗を確保するためにはある程度まとまった資金を用意しなければならないことです。
そこで近年注目されているのが、開業時にかかる初期費用とランニングコストを下げることができる「店舗を持たない飲食店運営」のスタイルです。
そこで、カフェなどの飲食店を運営する拠点としてトレーラーハウスが活用されるケースが増えてきました。
トレーラーハウスでカフェを営業するメリット
飲食店経営のうち、トレーラーハウスを使ったもので最も人気が高いのがカフェの運営です。実際にカフェを始める場合にトレーラーハウスを活用することで期待できるメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
- 初期費用やコストを抑えることができる
- 立地による売上の影響を受けにくい
初期費用やコストを抑えることができる
事務所運用でも言えることですが、多くの経営者の方々が初期費用やコストを抑えたいためにトレーラーハウスを活用して営業を行っています。
いざ店舗を持つとなれば、物件の準備に多くの時間や費用を要してしまうことになります。
賃貸の場合、敷金・礼金はもちろん、仲介手数料、保証金なども用意が必要です。さらにプラスして、毎月の賃料の支払いをしなければなりません。
特にカフェであればオシャレな内装や外観が必須ですから、物件を借りる前にリフォーム工事を入れるための費用も大きく発生します。
トレーラーハウスカフェなら、費用ゼロでスタートできるということではありませんが、かなりコストは削減することができるはずです。これから店舗でカフェ経営をしたいと考える方々も、リスク回避の観点からトレーラーハウスカフェで経験を積んでからはじめるといいかもしれません。
立地による売上の影響を受けにくい
さらに、トレーラーハウスカフェのメリットは、立地による売上の影響を受けにくいことです。トレーラーハウスカフェは、店舗を持たないスタイルであるため、フレキシブルな対応をすることができます。
店舗を構えたカフェは、お客様をいつでも待つスタイルを取ることになります。しかし、トレーラーハウスの場合は、待ちのスタイルではなく攻めのスタイルをとることができ、お客様が来てくれなければ、来てくれる可能性のある場所まで移動することが可能です。
店舗型カフェよりも広い範囲でお客様層を取り入れることができ、はじめてカフェを開業する方々も、利益を出しやすい特徴があります。
トレーラーハウスの事務所、カフェ運用で注意したいデメリット
トレーラーハウスの事務所、カフェ運用には様々なメリットがあることがわかりました。しかし、一方で注意すべきデメリットもあります。考えられるデメリットについてもしっかりと確認しておきましょう。
- 集客に工夫が必要
- 運搬が難しい
集客に工夫が必要
特にトレーラーハウスカフェは、移動できるというフレキシブルな反面、店舗がないため存在感としては薄くなってしまうことがあります。
昔ながらの店舗を持ったお店がいいという方々もいらっしゃることでしょう。
そのため、積極的にお客様に広報していかなければ認知してもらうことが難しく、利用機会も減少してしまうことがあります。
トレーラーハウスカフェは新しいスタイルであることもセールスポイントなので、SNSなどうまく取り入れたプロモーションが必要です。
運搬が難しい
トレーラーハウスは、移動したいときに自由に移動させることができるイメージをもっている方々も多いことでしょう。実際に、トレーラーハウスカフェのメリットは、積極的にお客様のいる場所まで移動させることができることです。
しかし、サイズによっては大がかりなけん引が必要となる点に注意が必要です。大きなトレーラーハウスの牽引にはレベルの高いスキルが必要であり、通常であれば運搬のプロに依頼することになります。よって、運搬費用もかさんでしまうことになります。
距離にもよりますが、少なく見積もって数十万程度かかることは珍しくありません。
また、サイズにもよりますが自身で運搬するケースでは牽引免許が必要となる場合もあります。牽引免許取得で教習所に通う場合には、費用はおおかた12~15万円程度となります。
交通量の多い昼間時間はトレーラーハウスを運搬できないため夜間に運搬しなければならないなど、移動にはいくつか制約があることも抑えておかなければならないポイントです。
山の上などの見晴らしのいい場所にトレーラーハウスを運搬しようと思えば、道路が異常に狭かったり、大きな石などの障害物があったり、運ぶことを断念しなければならないこともありますので、設置場所の確認やそこまでの経路については予め調査が必要です。
地盤の考慮
一般的な住宅を建てるときには、地盤工事をし、家を建築します。トレーラーハウスの場合、そのような工事はしないで設置するので、農地などの地盤がやわらかい場所には設置することができません。
トレーラーハウスは、サイズや搭載している設備にもよりますがそれなりの重量があるため、設置場所の地盤の硬さには配慮する必要があります。
まとめ
いかがでしたか。今回は、トレーラーハウスを事務所、カフェとして活用するメリット、またデメリットについて解説しました。
トレーラーハウスを事務所やカフェとして利用することで、フレキシブルな使い方が出来る独自性の高い拠点を持つことが可能となります。
資金を用意できずに運用が行き詰まっている方々は、幾分費用を下げることができるトレーラーハウス運用を検討してみてはいかがでしょうか。
利益性の高いトレーラーハウス運用のために、デメリットについてもしっかり理解して、活用するようにしましょう。