海外では歴史も古く広く知られて活用されているトレーラーハウスですが、日本で注目され始めたのはここ十数年のことです。
故に情報量がそれほど多くなく、購入前に得られる知識が少ないのも現状です。
ここでは、トレーラーハウスの選択肢の一つとしてよく紹介されている【住居用トレーラーハウス】について、その特徴などを紹介していきます。
INDEX
トレーラーハウスとは
様々な用途で利用できる事から、購入目的も幅広く、多くの需要があるトレーラーハウス。しかしその多様性ゆえに自分が欲しい情報がなかなか見付からない、あるいは具体的なイメージが湧かないといったケースもあります。
ここではまず、全てのトレーラーハウスに共有する基本的知識について紹介していきます。
トレーラーハウスの扱い
トレーラーハウスの用途は様々ですが、基本的にはどういった扱いの車両なのでしょうか。そもそも車両なのかどうかもわからないといった意見もあるのではないでしょうか。
まず基本的知識として、日本におけるトレーラーハウスの扱い(登録)は、大きく2つに分けられます。
車両
トレーラーハウスの中でも、法令上の「車両」に属するトレーラーハウスがこれにあたります。基本的にトレーラーハウスの扱いは「車両」ではありますが、下記の条件を満たしている必要があります。
- 随時かつ任意に移動のできる状態で設置されており、その状態を維持継続できること
- 電気、ガス、水道、電話などのライフラインとの接続が、工具を利用しない脱着式タイプであること
- 適法に公道を走る事ができること
建築物(車両以外)
「車両」としての条件を満たす事ができないトレーラーハウスについては「車両以外」の扱いとなり、いわゆる「建築物」とみなされます。
移動が容易ではない事、ライフライン接続が簡易的ではないこと、更には道路交通法の規定を順守できない車両状態である事などが考えられます。
「車両」タイプの特徴
車両とみなされるトレーラーハウスの特徴には、以下のような項目が挙げられます。
自動車としての税金が発生
トレーラーハウスそのものにエンジンは搭載されていませんので、あくまでも自走はせずに牽引による移動が基本です。しかし牽引される側の車両にもナンバープレートが付いている必要があり、一般的な自動車と同様の税金が発生します。
- “自動車税”…1年に1回。4月1日時点の所有車に対し、排気量に応じて課税
- “自動車重量税”…新規登録時及び車検時に車両の重量に応じて課税
※新車としてトレーラーハウスを購入する際には上記のような税金の支払いや車検の取得が推奨されていますが、その後一定の場所に固定し移動の予定が無いケース等では以降の車検や税金の支払いは不要と案内するトレーラーハウス取り扱い会社もありますが、用途や設置場所により適した管理を行いましょう。
道路運送車両法による扱い
トレーラーハウスの移動は牽引が基本であるという事をお伝えしましたが、牽引移動をする為に注意しなくてはならないのが「道路運送車両法」という規定です。
この「道路運送車両法」は、車両が安全に公道を走行する為の基準として設けられており、これにより同じトレーラーハウスでも「制限をクリアしている車両」と「制限をクリアしていない車両」に分けられます。
具体的な基準は以下の通りです。
- 「道路運送車両法」制限をクリアしている車両・・・車幅2500㎜以下/全長12000㎜以下/全高3800㎜以下
- 「道路運送車両法」制限をクリアしていない車両・・・上記数値よりも大きな車両
制限をクリアしている車両であれば、自動車登録証(車検)を取得してナンバープレートをつけていれば一般的な方法で牽引を行う事ができます。
制限をクリアしてない車両は原則として自動車登録証の交付を受ける事が出来ない為、基準緩和の認定を受け、「特殊車両通行許可」という証明を受ける事ではじめて公道を移動(被牽引車として移動)する事ができます。
※制限をクリアしていないトレーラーハウスは道路運送車両法上“トレーラハウス”と呼ばれます。
建築物(車両以外)タイプの特徴
車両扱いにはならない、いわゆる“建築物”とされるトレーラーハウスの特徴には以下のような項目が挙げられます。
建築物としての税金が発生
トレーラーハウスが「車両」として扱われる為の条件として挙げられる、以下の項目、
- 随時かつ任意に移動のできる状態で設置されており、その状態を維持継続できること
- 電気、ガス、水道、電話などのライフラインとの接続が、工具を利用しない脱着式タイプであること
- 適法に公道を走る事ができること
これらを満たさない場合、建築物としてみなされる訳ですが、建築物になるという事は一般的な住居と同様の税金が発生する事となります。
「固定資産税」や「都市計画税」などが具体的な税金で、市町村が条例で定めた税率により税額が決まります。
移動時の注意点
トレーラーハウスというとやはり「移動できる事」が大きな特徴な訳ですが、万一建築物の扱いで設置されているトレーラーハウスを移動したい場合には、先に紹介した「道路運送車両法による扱い」に従った移動方法が必要となります。
ここで混乱しやすいのは、建築物とみなされるトレーラーハウスはあくまでも「車両の扱いとなる設置条件をクリアできていない事」であり、車検が取れるか取れないかは道路運送車両法の話なのでまた別の問題であるという事です。
住居用トレーラーハウス
トレーラーハウスの大きな区分を整理した所で、よくある“住居用トレーラーハウス”の真相に触れていきましょう。
住居用トレーラーハウスとは
トレーラーハウスの種類としてよく挙げられているのが“住居用トレーラーハウス”というものですが、その名の通り一般的には「住居として利用されるトレーラーハウス」の事を指します。
一つの呼称として広く知れ渡っている為、あたかも“住居用トレーラーハウス”という枠組みがあるのかと感じがちな所ですが、実際はあくまでも“住む事が出来るように作られているトレーラーハウス”であって、その区分は車両の扱いであるか、あるいは車両の扱いではないかは関係ありません。住居用トレーラーハウスの中にも車両として扱われるものもありますし、建築物として扱われるものもあります。
住居用トレーラーハウスの特徴
“住居用”と呼ばれるくらいですから、生活をする事が出来るレベルの設備を兼ね添えている事が前提となるかと思います。
具体的な設備例を挙げるとすれば
- キッチンがあること
- トイレがあること
- お風呂(シャワースペース)があること
- セキュリティが整っていること
- 水、電気、ガスのライフラインが整っていること
等の条件がそろっている事が考えられます。
その他にも、住所が割り当てられている事や、電話回線を引く事が出来るといった条件も必要とされる場合がありますが、住居用としてトレーラーハウスを利用する上での必須条件については“居住者の方次第”であるという一面があるのも事実です。
住居用トレーラーハウスの設置場所
住居用トレーラーハウスを設置する事が出来る場所は様々です。
- 所有する土地に設置
- 借地に設置
- 既に所有している自宅の庭に設置 ・・・等
ここで注意したいのが「土地」の種類についてです。住居用トレーラーハウスのうち、そのトレーラーハウスが「車両扱い」であるか「車両扱いではない」かにより、設置できる土地に制限があります。
というのも、車両扱いではないトレーラーハウスの場合、これは「建築物」の扱いとなりますので“市街化調整区域”と呼ばれるエリアには設置する事ができません。
この制限は逆に大きなメリットでもあるのですが、その住居用トレーラーハウスが「車両」である事の条件を満たして設置できるのであれば、通常では建物を建てる事のできない“市街化調整区域”にも住居用車両として住居を構える事が出来るという利点につながります。
住居用トレーラーハウス購入のメリット
ここでは実際に、人が住む事を目的とされた「住居用トレーラーハウス」を購入するメリットについて紹介していきます。
市街化調整区域への設置
先に紹介した通り、車両として認められる為の基準を満たしていれば、通常では家を建てて生活をする事が認められていない市街化調整区域にも生活拠点を置くことができるという大きなメリットになります。市街化調整区域というのは一般的に市街化区域と比べて地価が安く、安価に土地を購入する事ができます。
生活拠点を変えたい、増やしたい時の一つの選択肢として市街化調整区域を検討する場合には住居用トレーラーハウスの設置がオススメです。
初期費用
家を建てたいと思ったら、既に土地を持っている場合でも、建物だけで数千万円という単位のお金が必要になります。しかし住居用トレーラーハウスであれば必要な条件に合わせてサイズや設備、外観や内装を選択する事ができ、それでいて価格は数百万円とリーズナブルです。自動車と同じようにローンを組む事もできますので生活拠点を作りたいが初期費用は抑えたいという方にオススメです。
維持費
維持費を安く済ませたい場合には、住居用トレーラーハウスを“車両扱い”になる条件で設置すると良いでしょう。
使い勝手は住居用なので生活は不便なくできる事を前提に、その設置条件さえクリアしていればマイカーを持つのと同じ感覚で維持費を考えるだけで良いのです。
建物にかかる固定資産税を考えると、車両としての税金を支払う方が安く済みますのでランニングコスト減につながります。
移動
家を買い、その土地に建築してしまえばその家を動かすという事はできません。何等かの理由でその場所に住めなくなってしまった場合には家ごと売却する必要があります。
しかし住居用トレーラーハウスであれば、もしも家の拠点を変えたい場合にはトレーラーハウスごと移動する事ができます。あるいは土地とは関係なくトレーラーハウスそのものを中古として売却する事もできます。自分の資産でありながら、賃貸物件に住むように気軽に拠点を変える事が出来るというのは住居用トレーラーハウスの一つの大きなメリットと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。トレーラーハウスの基本的な知識をふまえつつ、「住居用トレーラーハウス」について紹介してきました。
日本ではトレーラーハウスに関する法令が整い始めたのは最近のことであり、まだまだ情報も少なく、混在し、関連する言葉一つ一つ表現方法も様々で問い合わせの窓口も多くはないのが現状です。
そういった中で今回は「住居用トレーラーハウス」の真相について触れました。トレーラーハウスの購入の一つの情報として是非参考にしていただき、不明点や疑問点は専門業者に気軽にお問合わせくださいね。