トレーラーハウスの設置で注目される「市街化調整区域」とは

近年注目が集まっているトレーラーハウス。その魅力の一つとして挙げられるのが「市街化調整区域」への設置です。では、その「市街化調整区域」というのは具体的にどのような区域なのでしょうか。トレーラーハウスの設置場所として選択すべきメリットやその特徴などを紹介します。

市街化調整区域と市街化区域

戸建ての建築など、土地探しや物件探しの時によく目にするのが「市街化調整区域」や「市街化区域」です。では実際にそれらの区域の違いはどういった事なのでしょうか。

市街化調整区域

「市街化調整区域」とは、都市計画法7条に定められている都市計画区域の一つで、「その都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、市街化を抑制すべき区域」と制定されています。市街化を抑制するというのは、住宅や施設といった建築物を積極的に建築する等して地域の活性化を行ってはならないと定めているという事です。
地域の管理は各都道府県が行っており、万一市街化調整区域に建物を建てる場合には原則として都道府県からの許可を得なくてはなりません。

市街化区域

市街化調整区域に対して「市街化区域」とは、同じ様に都市計画法7条に定められている都市計画区域の一つではありますが、市街化を抑制すべき区域だった市街化調整区域とは反対に市街化を活性化するように定められている区域です。既に市街地を形成している区域も含まれますが、おおむね先10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域として定められています。市街化調整区域と同様に都道府県が区分を定め、都市計画を進める事ができます。
市街化区域の中には「用途地域」というものが指定され、その地域によって建築できる建物の用途や条件などが細かく決められています。

市街化調整区域の特徴

「市街化調整区域」と「市街化区域」の違いがわかった所で、では実際にトレーラーハウスの設置場所の選択肢として魅力的だと言われる「市街化調整区域」の特徴やメリットについて紹介していきます。

市街化調整区域内に建物を建てたい時

市街化調整区域とは、本来であれば市街化を抑制されている区域であり、住宅を含む建物の建築については制限がある為簡単にできる事ではありません。一定の条件を満たす事で建築が可能とは定められているものの、都市計画法第34条という規定に基づいた開発許可が必要であり、その内容は十以上の項目が細かく決められている為、許可を取得する為にはそれなりの労力が必要です。
もしも昔から持っている土地・住んでいる家が途中から市街化調整区域に指定されたとしても、建て替えやリノベ―ションの際には同じ様に都市計画法第34条の規定に基づき許可を受ける必要があります。
市街化調整区域に建物を建てる事は、それほどに大変な事であると言えます。

市街化調整区域のメリット

市街化調整区域内にトレーラーハウスを設置するメリットには下記のようなものが挙げられます。

土地が安い

市街化調整区域内の土地は、市街化区域内と比較すると圧倒的に地価が低い傾向にあります。都道府県やその区域により異なりますが、目安としては市街化区域の役3分の1程度の価格で土地を購入する事ができます。場所によっては10分の1程の値段に設定されているエリアもあるようです。その土地に住みたい、あるいは事業を始めたいという場合に土地を検討しているならば、その購入費用が市街化区域と比較すると格段に抑える事ができるというのは大きなメリットです。
土地購入を考えている場合もそうですが、土地を借りて何かを始めたいという時にも安い値段で借りる事が出来るというのは非常に魅力的と言えます。

税金が安い

土地の安さもそうですが、そのエリアの地価・建物に対しては課税評価額が低い傾向にあり、そうなるとそこにかかってくる税金も安くなるというのが特徴です。建物を持っているのであれば固定資産税の課税額は低くなりますし、都市計画税についても都市計画地外に該当する為支払う義務がありません。土地を持っているだけでは特別税金が発生しないというのは大きなメリットといえます。

豊かな環境

市街化調整区域は、“市街化を抑制”されている区域です。その為、開発の進んだ市街地とは違う落ち着いたエリアである事が多いです。繁華街が無く、風紀を乱す店舗や施設も無いので落ち着いており、自然が多い豊かな環境と言えます。住居としてはもちろん、お店を始めたいなどのあらゆる用途において、リフレッシュできる環境でスタートする事ができるメリットがあります。
基本的には建物を建てる事が出来ないので、周囲の家や店舗とは必然的に距離が空く事になり、何か新しい事業を始めたい場合にはそのエリアの先駆けとなる事もできるでしょう。

市街化調整区域のデメリット

多くのメリットが見込まれる反面、市街化調整区域である事によるデメリットもいくつか考えられます。

インフラ整備が必要な場合がある

市街化調整区域は、現状空き地であったり農地であったりする場合が多い事から、水道や電気、ガスなどのインフラ整備が十分に整っていない場合もあります。

利便性の問題

市街化調整区域は、悪く言ってしまえば“開発が進んでいない”地域という事になります。鉄道やバスなどの交通網が十分に発達していない可能性もあり、アクセスの良い場所とは言えないケースもあるでしょう。住宅拠点にする場合や事業を始める際に、公共交通機関を使った利便性を重視するには向いていない区域かもしれません。

土地の売却がしにくい

地価が安い事から土地を購入する際には負担が少なくメリットとなりますが、逆に土地を手放したい場合にはなかなか買い手が見つからないという懸念性もあります。

トレーラーハウス×市街化調整区域

市街化調整区域の特徴がわかった所で、実際にトレーラーハウスを市街化調整区域に設置する魅力をまとめてみましょう。

普通であれば建物を建てられない場所に新たな空間を設置できる

トレーラーハウスを市街化調整区域に設置する最大の魅力がここにあると言えます。市街化調整区域は一般的には建築物を建てる事はできません。ですがトレーラーハウスなら一定の基準を満たしていれば「車両」の扱いとなり、建築物にはなりません。家を建てたい場所に住居として設置する、または新しく事業を始めたい、そういったケースでも拠点選びの際に市街化調整区域というエリアを選択肢の中に入れて検討する事が出来るのは大きなメリットと言えます。

初期費用やランニングコストが安く済む

土地を借りる、または購入する場合でも、市街化区域と比較すると市街化調整区域は大幅に安い値段で土地を準備する事ができます。また、元々がどのような用途で使われていた土地であったとしても、トレーラーハウスを設置するにあたっては一般的な住居を建築する時のような地盤改良も必要ありません。更には都市計画税の対象外であるなど税金面での優遇も期待されるので初期費用やランニングコストがかかりにくいというメリットがあります。

市街化調整区域のデメリットも払拭できる

市街化調整区域のデメリットでもある利便性の悪さや、その土地を手放す時のデメリットを考えてもトレーラーハウスを設置する事は決してネガティブな事ではありません。
そもそも土地が安いので、住居にするにしても事業を始めるにしても駐車場の土地を確保する事も容易であり、駐車スペースを併設する事で利便性の悪さはある程度カバーされます。トレーラーハウス自体が車両なので、その土地自体を駐車場にしてしまうという手もあります。トレーラーハウスを数台設置して店舗を始めるなどの選択肢も広がります。
また、土地を手放す場合でも、もし建物が建ってしまっている土地を売却するのは難しいかもしれませんが、トレーラーハウスを設置しているケースならトレーラーハウス自体は中古でも容易に売却が可能ですので残った土地は如何様にも活用でき、大きな税金の心配もありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。トレーラーハウスの魅力として知られる市街化調整区域への設置について特徴を紹介しました。トレーラーハウスはまだまだ知られていないものの魅力が沢山詰まった空間です。通常であれば制限の多い市街化調整区域にも設置できるという大きな特徴を活かす事で、住居や事業用として様々な可能性を広げてくれるに違いありません。
これからトレーラーハウスを検討される方も、まずは土地から探し始めたい方も、市街化調整区域の選択を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

※一般的には市街化調整区域にトレーラーハウスが設置できると定められていますが、自治体によっては独自の条例を設けている場合もありますので、設置予定である地域の自治体に予め確認を取る事を推奨します。