トレーラーハウスの購入を検討する際に比較になるものの一つがキャンピングカーです。車輪がついていて、家のように使う事ができる空間という点ではトレーラーハウスとキャンピングカーはニーズが似ているとも言えますが、実はそれぞれに異なる特徴があり、自分の用途に合わせて選ぶ必要があります。ではそれらの違いについて具体的に紹介していきます。
INDEX
キャンピングカー
旅行やイベントの自粛傾向があるこのご時世で人気が出てきているのがキャンピングカーです。大型で特徴的なスタイリングの車両は一目見て「キャンピングカー」と認識できる程に知られた認知度の高い車です。
キャンピングカーの特徴
キャンピングカーとはその名の通りキャンプに行くのに最適な寝泊りのできる車です。車内で快適に睡眠をとる事ができるだけではなく、キッチンが設置されており炊事ができるタイプも多くあります。
特殊車両の8ナンバーを取得し、手をかけてこだわりの車両づくりをしている方もいますし、普通車のまま設備を工夫してキャンピングカーにしている車両もあります。最近では軽自動車のキャンピング仕様も珍しくありません。
キャンピングカーの種類
キャンピングカーと言っても、色々なタイプの車両があります。
バンコン(バンコンバージョン)
通称バンコンと呼ばれるタイプは、ワンボックスカーやミニバンなどをベースにしている車両を指します。車両の外観は変わらずそのままで、内装を車中泊のできる仕様に改造しているものがこれに当たります。
キャンプに行かない時には普通の乗用車として使える事に加えサイズも特別大きい訳ではないので駐車場の事情にもマッチしやすく気軽に所有できるメリットがあります。
以前は簡易的な装備で、ただ車内で寝る事が出来れば良いというレベルがバンコンの立ち位置でしたが、近年では装備も充実してきており、シャワー設備を設置しているものやトイレを装備している車両など、かなり利便性が高まってきているのがポイントです。
ただし箱になる外側の車両はあくまでも普通乗用車なので、車内空間の広さに限りがある点はバンコンのデメリットと言えるでしょう。
キャブコン(キャブコンバージョン)
キャンピングカー専用の土台を使っており、車両の後部にアルミ製やFRP製の居住部分(キャンピングカーシェル)を設置しているものをキャブコンと呼んでいます。先に紹介したバンコンと比較するとサイズは大きく、特に高さがあるので中の空間は天井に向かって広くスペースを取る事ができる点が魅力です。車内を立って移動できる程の快適な居住空間がポイントです。
シャワールームやトイレスペース、キッチンはもちろん収納スペースも多く取る事が出来、まさにキャンピングカーの代名詞とも言える車両がこのキャブコンです。
バスコン(バスコンバージョン)
その名の通りバスをベースにしたキャンピングカーがバスコンです。マイクロバスや大型バスにキャンピングカー専用の装備を設置しているもので、一般的なキャブコンと比べてもかなり大きく、まさに移動式住居といったモデルが多くあります。
運転に際しては中型免許が必要な車両もあり、駐車場も専用にしなくてはならないなど日本では所有に伴う様々な超えるべき壁がありますが、根強い人気があるのも事実です。
フルコン・セミコン(フルコンバージョン・セミコンバージョン)
キャンピングカーの中でも高級車として憧れ高いのがフルコンやセミコンと呼ばれるキャンピングカーです。キッチン・シャワールーム・トイレはもちろんですが広いリビングスペースがあり4人以上でもゆったりとくつろぐ事のできる内装です。安い車両でも1000万円は下らない事から滅多にお目にかかる事はありません。
トレーラーハウス
キャンピングカーの中にもトレーラータイプというものが存在している為、比較にあがりやすいのがトレーラーハウスです。日本ではまだあまり馴染みが無いかもしれませんが、ここ数年で急激に注目され人気も出てきている車両です。
トレーラーハウスの特徴
トレーラーハウスの最大の特徴は、その名前の通り車両でありながらも家のように使う事が出来る点です。通常トレーラーハウスを購入した時にはナンバープレートが発行され、道路交通法上の車両と同様の適応になります。また、“随時かつ任意に移動できる事”といった条件を満たしていれば建築基準法上の建築物にも該当しない為、固定資産税も発生しないのが特徴です。
トレーラーハウスの種類
キャンピングカーのようにカテゴリ分けされるような目立った種類はありませんが、自分が使いたい用途に合わせてサイズを選択できるのがトレーラーハウスの特徴です。また、建築物にならない条件や公道を走行する為の条件がそれぞれ定められていますので購入時にはこういった部分にも注意して選ぶと良いでしょう。
人気があるのは全幅2.5m前後×全長7m前後の9畳~10畳のサイズですが、これより小さいサイズも大きいサイズも幅広く選ぶ事ができます。
「車両」扱いのトレーラーハウスとは
トレーラーハウスの特徴としても記載しましたが、トレーラーハウスが「車両」としてみなされる為の条件は下記の通りです。
- ・随時かつ任意に移動できる状態で設置され、その状態を維持している事
- ・電気、ガス、給排水、冷暖房、電話などのライフラインとは工具を利用しない簡易脱着式のタイプで接続している事
- ・適法に公道を移動する事が出来る自動車である事
サイズの違いによる道路運送車両法規定
道路運送車両法で定められる規定により、サイズの違いで運送条件が異なります。
車幅2500㎜以下/全長12000㎜以下/全高3800㎜以下
この規定を満たしていれば保安基準第2条に定められる制限内とみなされ、安全基準を満たした上で車検を取得して公道を走行する事ができます。
この基準よりも大きいサイズになると、“保安基準第2条の制限を超える”として特別に運輸局で基準緩和の認定というものを受けた上で、道路局で特殊車両通行許可を取得してからでないと公道を走行できません。
キャンピングカーとトレーラーハウスの選び方
キャンピングカーとトレーラーハウスのどちらを選ぶか検討されていた方にも、それぞれの特徴がある程度おわかりいただけたのではないでしょうか。
ではここからは具体的にどういった条件でどちらを選ぶべきなのか比較していきましょう。
キャンピングカーを選ぶ場合
下記のような用途の場合にはキャンピングカーがオススメです。
自走して色んな場所に行きたい
エンジンが搭載され自走ができるキャンピングカーは、その1台で色々な所に移動したい方に適しています。長距離の旅行はもちろんですがキャンプサイトに乗り入れで車中泊をするのにも車1台で気軽に旅を楽しむ事ができます。
自家用車としても使いたい
車を何台も所有するのはそれだけ維持費もかかりますし駐車スペースも必要になります。その為キャンピングカー1台でキャンプ用の車と自家用車とで兼用したい方に適しています。
トレーラーハウスを選ぶ場合
下記のような場合にはトレーラーハウスがオススメです。
自宅の敷地内やその他の場所に固定したい
トレーラーハウスは車両ですがエンジンは搭載していないので基本は牽引して動かす事になります。その為どちらかというと牽引して運んできたらその後はその場所に固定して使用される事が多いと言えます。自宅の敷地内に置き、別邸として使うケースや、一定の場所に一定期間固定して使う事を考えている方にはオススメです。
事業用で検討している
キャンピングカーはキャンプがメインの車両とも言えますが、トレーラーハウスは様々な用途に使う事のできる家のような車両です。特に事業用としての需要は年々高まってきており、内装や外装のデザインが自由にアレンジできる事もあって店舗や事務所あるいはイベントなどの屋内設備にも適しています。
ライフラインを本格的に使いたい
キャンピングカーは基本的に移動する事を前提としていますが、トレーラーハウスは車両ではあるものの固定して使う事がメインでつくられています。その為水道や電気、ガスなどのライフラインは一般住宅と同様の環境を利用します。キッチンを本格的に使いたい場合や冷暖房を完備して使いたいなど利便性や快適性を重視している場合はトレーラーハウスが適していると言えるでしょう。
手放す事も視野に入れている
トレーラーハウス市場は現在、需要に対して供給が追い付いていない事もあり、中古で販売されているものもすぐに売れてしまいます。エンジンを搭載していない点から車両としての消耗品の劣化も無い事などが価格の下がりにくさにも繋がる部分です。その為、購入後どれだけ長く所有するかわからない場合やお試しで事業を始めてみたい方などには手放した時にも損なく売る事ができるメリットからトレーラーハウスが適していると言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。「キャンピングカー」と「トレーラーハウス」それぞれの特徴や選び方について紹介しました。近年はどちらも需要が高まっており、色々なサイズやモデルが登場しています。同じようなジャンルのものに思われがちですが、それぞれに特徴があり、目的や用途によってその選び方は変わるのではないでしょうか。
環境や使い方に合わせ、最適な1台に巡り合う為のお手伝いができれば幸いです。