昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響で外食の機会が減ってきており、おうちごはんが重要視される中でのテイクアウト需要が高まってきています。
そんなテイクアウト市場の拡大で注目されている“キッチンカー”ですが、このキッチンカー開業においてトレーラーハウスが人気を集めています。では、トレーラーハウスを使ったキッチンカー開業について詳しく見ていきましょう。
INDEX
キッチンカー
キッチンカーとは通常「移動販売」の印象が強くありますが、ここで紹介するトレーラーハウスを使ったキッチンカーは移動をメインとしたものではなく、車両を使った飲食販売設備です。移動販売車との違いやキッチンカーの特徴について見ていきましょう。
キッチンカーとは
キッチンカーとは、「ケータリングトラック」や「フードトラック」等と呼ばれ、主に食品や飲料などの調理・販売を目的とした設備の備わった車両の総称です。街でよく見かけるキッチンカーでは飲食の為の客席は車内には備わっていない事が多く、テイクアウト販売に注力している移動可能なタイプの車両が主流です。
必要な営業許可や資格
キッチンカーを使って飲食の販売事業を始める際には、いくつかの必要事項があります。
食品衛生管理者資格
キッチンカーに限らず、飲食物の提供を伴う事業を行う際には食品衛生管理者が必ず一人以上必要と定められています。各都道府県の食品衛生協会にて指定の講座を受講する事で、食品衛生管理者資格を取得する事が出来ます。
営業許可の取得
こちらもキッチンカーに限らずですが、事業を始める時には開業届の提出以外にも「営業許可」を取得する必要があります。キッチンカーで事業を始める場合に必要な営業許可には3種類あり、「飲食店営業」「菓子製造業」「喫茶店営業」のうちから取り扱う商品により必要な営業許可を取得する流れとなります。万一営業許可を取得せずに店舗を営業させてしまうと罰金が課せられますので注意が必要です。
出店場所の確保
キッチンカーを使った飲食店の営業では、店舗を置くその場所への出店許可が必要です。オフィス街や商業施設はもちろん、公園や住宅街など様々な場所へのキッチンカー出店が広がっていますが、どこに出店を行うにしても必ずその土地の所有車に出店許可を取る必要があります。
仕込み場所の確保
保健所から営業許可を受けた販売車両で食材の仕込みを行う事ができれば良いですが、車内のスペースや営業許可を受けている出店可能時間などの関係で、車内での仕込みができない場合には別の場所を確保する必要があります。食材を仕入れる際の受け入れ口となる窓口も考慮が必要であり、仕込みを行うスペースについても保健所から営業許可を受けている必要がありますので注意が必要です。
キッチンカーに利用する車両
キッチンカーに使われる車両は様々です。移動販売がメインの車両であれば軽自動車を改装した車両が馴染み深く、実際に人気でもあります。
車両を新車で購入し、販売する予定の食品に合わせた必要な設備を設置して開業準備を進める事もできますし、初期費用を抑えたい場合には自分の必要な設備を兼ね備えた中古車両のキッチンカーを探してみるのも一つの方法です。
これから紹介するトレーラーハウスも同様で、新車購入に伴い必要な設備を設置した上で納車する事もできますし、業態にマッチした設備やデザインの整った車両を中古市場から探して安価に購入する方法もあります。
トレーラーハウス
欧州や北米をメインに、世界でも広く知られているトレーラーハウスですが、住居用だけでなく様々な使い方で活用する事ができます。ここでは、キッチンカーとしてのトレーラーハウスの活用について詳しく見ていきましょう。
トレーラーハウスの特徴
様々な用途で使われるトレーラーハウスですが、一体どのような特徴があるのでしょうか。
「建築物」ではなく「車両」である
トレーラーハウスの大きな特徴の一つが、建築物ではなく車両という事です。一般的な移動式販売車は移動を行う為に自動可能な軽自動車などを活用しますが、トレーラーハウスではそれよりも大きなサイズを選ぶ事ができるにも関わらず、基本的には建築物ではなく「車両」としてみなされます。その為、物件を取得して店舗を営業するような規模感の大きな店舗の場合で支払いが必要になる固定資産税や不動産取得税などについても支払いが不要であり、自動車を所有するのと同じだけの税金で済ませる事が出来るといったメリットがあります。
公共のライフラインを利用
飲食物の調理・販売において必須となる電気・水道・ガスといったライフラインについては一般的な建築物と同様に公共の設備を利用する事ができます。これにより電力やガスの安定供給を受ける事ができます。
移動が可能
トレーラーハウスを使ったキッチンカーは移動販売がメインではないという事を先に述べましたが、決して移動できない訳ではありません。トレーラーハウスの基本的な仕様は“車両”ですから、土台となるシャシーにはタイヤが付いており、移動が可能です。ただし普通自動車と違ってエンジンは積んでいない為、自走する事はできません。牽引車両を使って目的地まで移動する流れとなります。
日々色々な場所に移りながらの移動販売はできませんが、建物の中に入るような飲食店と同様のしっかりとした設備、十分な広さを兼ね備えているにも関わらず、思い立った時には気軽に移動する事が出来るというメリットにつながります。
設置設備の自由度・デザイン性の高さ
トレーラーハウスは新車で購入する場合にはそのサイズやデザイン、搭載する設備などの細かい所まで自分でオーダーする事ができます。
幅広い用途で使う事のできるトレーラーハウスですが、住居としても多く活用されている為、内装や間取りについても好みのものを選択する事ができます。
キッチンカー×トレーラーハウス
キッチンカーの基礎知識やトレーラーハウスについて簡単に紹介してきましたが、ではキッチンカーにトレーラーハウスを選択するメリットはどのような点にあるのでしょうか。具体的な利点を見ていきましょう。
トレーラーハウスを使うメリット
キッチンカーにトレーラーハウスを活用するメリットは様々です。
「車両」である事は一般的な移動販売車のキッチンカーと変わりありませんので特別な事ではないですがトレーラーハウスならではのメリットも多くあります。
ライフラインの安定性
トレーラーハウスの特徴でもある電気やガス、水道といったライフラインに公共の設備を利用する事ができるという点は、キッチンカーとしては大きなメリットと言えます。食品の調理・販売には調理設備が必須ですので、そういった設備の利用に安定した水源・熱源を確保できる事は大きなメリットと言えます。
市街化調整区域への設置
建築物ではなく車両とみなされるトレーラーハウスは、本来であれば建物を建てる事のできない「市街化調整区域」にも設置する事ができます。
例えば室内に客席を設けるケースや、仕込み~調理~販売までを一貫して車両内で行うケースなど、移動販売車両よりも大きなサイズ感が必要な場合でも、店舗として物件を準備せずにトレーラーハウスを活用して「キッチンカー」として開業をする事が出来る点がメリットです。
更に、トレーラーハウスであれば通常なら建築物を建てる事の出来ない市街化調整区域への車両設置が認められています。競合の多いエリアではなく、落ち着いた場所で営業を行いたい方には大きなメリットになります。
汎用性が高い
軽自動車などをキッチンカーとして使った場合には、備わっている設備や外観を大きく変更するとなると車両まるごとを交換するようなもので、あまり現実的ではありません。しかしトレーラーハウスなら、外観のデザインや内装、設備系なども住宅リフォームのように変更する事が出来ます。これにより、例えば中古車両を安価に購入して自身の好みの車両に仕上げる事もできますし、反対に、これまで事業で使っていたトレーラーハウスを中古市場に売りに出したとしてもすぐに買い手が見つかるので負債を抱えるリスクが少ないと言えます。
車両の選択
トレーラーハウスを使ってキッチンカー事業を始めたい場合、新車で好みの車両を購入する、あるいはニーズにマッチした中古車両を探す他にも「リース」を活用するという選択肢もあります。
はじめての飲食店営業の為トライアルとしてキッチンカーを始めてみたいというケースや、出店場所をじっくり検討していきたいのでまずは仮店舗で営業したいといった場合には、リースを上手く活用する事で通常よりも気軽に事業を開始する事が出来ます。
フェスやイベントなどでの期間限定出店にも、リースという方法が上手く活用できるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今注目されているキッチンカーを使ったテイクアウト専門店にトレーラーハウスを活用するメリットやその特徴について紹介してきました。
安価な初期投資、そして低リスクにも関わらず不動産物件を使った店舗と同様の設備・規模感で飲食店の営業を行う事が出来るトレーラーハウスを活用したキッチンカー。店舗営業と移動式販売の良い所取りをしたメリットいっぱいの環境を手に入れて、今注目のキッチンカー事業をスタートさせてみてはいかがでしょうか。