「趣味」「別荘」「投資」…様々な用途で注目される【山林購入】と【トレーラーハウス】とは?

コロナ禍で、密を避けてのレジャーとして注目を浴びているのがアウトドアアクティビティです。キャンプ場にテントを張っての宿泊はもちろん、キャンピングカーを購入して車中泊を楽しみながら各地を移動するといった旅行を楽しむ方も増えました。

事業者側も、こういったアウトドアに対応する施設を次々にオープンし、昔ながらのシンプルなキャンプ場とは差別化を図った快適でオシャレなグランピング施設などが続々と生まれてきています。

実は、そんな人気が高まるアウトドアブームに追い風を受け、自分用に山林を購入し、トレーラーハウスを設置する方が増えているのをご存知でしょうか?

ここでは、個人で買う事の出来る山林やトレーラーハウスの活用について紹介していきます。

山林購入

コロナ禍が長引いている事もあり、団体ツアー・集団旅行は自粛ムード。個人や家族だけで楽しむ小規模な旅行が主流となりました。中でも特に人気が高いのがアウトドアアクティビティです。これを機にキャンプ用品一式を買いそろえ、キャンパーとしてデビューした方も少なくないのではないかと思います。

しかしそこで問題になっているのが“キャンプ場の混雑”です。密を避けてキャンプを楽しみたいはずなのに、人気のキャンプ場は数カ月先まで予約がいっぱい。フリーサイトではお隣との距離感が近く落ち着かない。ソロキャンプを楽しみたいけれど団体が多くて肩身が狭い…。そういった困りごとを経験したキャンパーさんが行き着くのが「山林購入」です。

山林購入とは

「山林購入」とは、その名の通り山や林などの土地を購入する事です。

山林・森林というと国有地のようなイメージがありますが、実は日本の森林面積のうち、国有林と呼ばれる面積は森林面積全体のうちの3割程度です。残りの6~7割は民間所有不動産の扱いですので、売買取引が可能という事になります。市街地の不動産会社ではあまり積極的に取り扱いはしていませんが、田舎の方や避暑地などに多い別荘地等では山林売買を専門とする不動産会社も存在しています。

山林の種類と価格

「山林」にも実は種類があるのをご存知でしょうか。この種類によっても面積に対する評価額が異なる為、購入時の相場感の目安になります。

都市近郊林地・・・市街地の近郊にある山林で、価格も比較的高く設定されている。
◇1000円~5000円/1㎡

農村林地・・・里山とも言われる林地を指し、農村・集落の周辺にあります。
◇100円~1000円/1㎡

林業本場林地・・・林業経営を目的として保有される林地です。
◇100円未満/1㎡

山村奥地林地・・・種類分けされる山林のうち、最も山奥に存在する林地です。
◇100円未満/1㎡

山林の売買は公募面積が採用されます。山林という性質上、登記簿上の公募面積と実測面積に差が発生するという理由から、公募面積での売買契約を行う事で統一されています。隣地との境界線が不明瞭である場合が多く、住宅地のようにはっきりと区画化されていない為、価格の精緻な査定が難しいという背景がある為です。

山林購入にかかる税金

マイホーム購入時に土地や家屋を取得した際には不動産取得税が課せられますが、山林を購入した場合も同様に不動産取得税が課せられます

山林の土地とそこに育つ木々との関係性は、まさに土地と家のような関係に似ており、それぞれに財産としての価値があると判断される為、課税の対象となるのです。

また、購入した山林の評価額によっては固定資産税も支払う必要がありますので注意が必要です。

また、購入ではなく「相続」した場合でも、法務局での名義変更などの相続登記や市区町村への所有者の届け出などが義務づけられていますので、それらの手続きに係る諸費用も考慮する必要があります。相続と同時に、固定資産税の支払い義務や山林の管理責任も引き継がれる事を忘れてはいけません。

トレーラーハウスの設置

“山を買う”と聞くとあまり現実的ではないかもしれませんが、実際は意外と気軽に自分の土地として山林を購入出来る事がわかりました。では、その山林に、トレーラーハウスを設置する事にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

市街化調整区域

「市街化調整区域」という名称を聞いた事はありますでしょうか?家を建てる時などに土地探しをしていると、市街化調整区域というワードを目にする事も多々あるかと思います。

このエリアは、市街地としての活性化を推奨せず、無秩序に街の市街化が進む事を防ぐ為に建築制限等がかけられている区域です。基本的に建築物を建てる事は禁止されていますし、インフラの整備工事に自治体から助成を受ける事ができないといったネガティブな面もあります。多くの山林はこの市街化調整区域にあたり、住居はもちろん、作業用の小屋やログハウスなども建築制限に引っ掛かり、思うように山林を活用できないという可能性もあります。

そこで注目したいのが、トレーラーハウスのメリットである“建築基準法上の建築物には該当せず、定められた条件に従い設置していれば車両とみなされる”という点です。

まとめると、本来であれば市街化調整区域の為住居や小屋などを建築する事ができない山林でも、トレーラーハウスならば設置が出来るという事です。

トレーラーハウスの特徴

本来なら建物を建てる事のできないエリアにも設置する事が出来るというトレーラーハウスのメリットを知った所で、トレーラーハウスとは一体どのようなものなのかを具体的に見ていきましょう。

用途

トレーラーハウスの用途は幅広く様々です。トイレ・キッチン・バスルームなどを設置して住居のように使う事もできますし、ちょっとした休憩スペースのように簡易的な仕様にする事もできます。必要最低限のものだけ置き、ログハウスのように一時的な宿泊設備として利用する事もできます。
断熱性・耐震性に優れ、一般的な戸建て住宅と同様の構造で建築される為、耐久性にも安心が持てる点が特徴です。

サイズ

トレーラーハウスのサイズに固定値はありません。普通乗用車で牽引の出来るコンパクトな750㎏未満サイズのものから、専用の牽引車で特殊車慮として牽引して運ぶような大きなサイズまで様々です。車長・車幅・車高のそれぞれのサイズが12m・2.5m・3.8mを超える場合には運輸局で特別な申請を行い、認定を受けた上での牽引が必要となりますが、そうでなければトレーラーハウスの販売業者や輸送業者に簡単に輸送を依頼する事ができます。

価格

トレーラーハウスの大きな特徴の一つである「価格」。通常、戸建て住宅を1軒建てようと思ったら数千万円以上の費用が発生するのが当たり前です。しかし、トレーラーハウスの購入価格はコンパクトでシンプルなものなら数百万円~と低価格。用途に合わせて必要なサイズや装備を選択する事が出来るので、無駄のない仕様を自分で選び、コストを抑えて手に入れる事が出来ます。

山林×トレーラーハウス

ここまで、山林の取得やトレーラーハウスについて簡単に紹介してきました。では、山林を購入してトレーラーハウスを設置する具体的例や注意点について見ていきましょう。

個人利用

ソロキャンプを自分の土地でのんびり楽しみたい方や、家族で過ごす休暇の行先として山林の別荘を持ちたい方は、避暑地などで山林を購入し、トレーラーハウスを設置しておくと良いでしょう。別荘地ならば電気やガス、水道などのライフラインもある程度整備されている事が多いので、トレーラーハウスを設置する際にそれらの設備も接続しておく事で不自由ない時間を過ごす事が出来ます。トレーラーハウスに対しての建築上の固定資産評価はありませんので、購入した山林の土地に対する評価額から算出した固定資産税と、トレーラーハウスの自動車税のみで快適な環境を維持する事が出来ます。

事業利用

宿泊施設やキャンプ場などの事業を展開しようと思っている場合にも、山林とトレーラーハウスの組み合わせは最適です。山林を購入し、自然を残したままトレーラーハウスを複数台設置する事で宿泊施設として成立します。テントやBBQ用品を持ち込むタイプのフリーサイトも併設する事で、キャンプを目的とした客層を幅広く取り込む事ができ、なおかつ維持費や初期投資も抑える事ができて魅力的です。

注意点

山林を自分の土地として購入し、トレーラーハウスを設置する際にはいくつかの注意点に気を付けるようにします。

土地選びに注意

山林を購入する際には、その土地がどのように使われていたのか等を調べてから購入するようにしましょう。キャンプ場として使うのには最適な更地化された土地などは使い勝手も良く人気ですが、以前に廃棄物の集積場だったケースや工場の跡地だったという例もあります。土壌汚染などの心配がない安心できる土地を選びましょう。

保安林かどうか

山林の中には「保安林」に指定される区域あります。その場合、区域内に育つ樹木を伐採する場合や、盛り土等で土地形質を変更する場合には都度行政への届け出が必須となります。売買契約の際に予め、仲介の不動産会社に確認しておくようにしましょう。

仲介手数料

これも山林購入の際の注意点ですが、山林にはいくつか種類があり、それぞれに明確な区別がない上、土地の境界線も曖昧である事が多いという背景をお伝えしました。つまり、土地の正しい相場感がつかみにくいというのが実情です。それに加え、山林の売買取引というのは宅建業法外となり、仲介手数料の上限というのが決められていません。つまり、土地自体の値段はそれほどでもないのに手数料として莫大な金額を取られてしまうといった不動産会社とのトラブルもゼロではなく、仲介を依頼する業者との契約内容には注意が必要です。

公道へと続く道を確保

トレーラーハウスを設置し、建築物ではなく車両という扱いにしておきたい場合には、設置場所から公道までの道のりを明確に確保しておくようにしましょう。トレーラーハウスを建築物ではなく車両として設置しておくための条件は、“速やかに移動する事ができる状態であること”です。ライフラインとの接続を着脱式の装備にしておく事もそうですが、公道まで移動させる為の道路を確保しておく必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。長引くコロナ禍で高まるキャンプ需要に最適な山林購入の選択肢とトレーラーハウスの活用について紹介してきました。

日常生活の中で土地を買うという事は非常にハードルが高く、限られた一部の人にしか縁のないものだと感じるかと思います。しかし少子高齢化、人口の都市部集中が高まると共に、山林を手放したいという売り手も増えている実情があり、山林を購入するという事に対してのハードルはそれほど高くなく、ある程度の供給量もあり価格もそれほど高いものではなくなってきています。新たな趣味のスタート、新たな事業のスタートとして、是非こういった選択肢に目を向けてみてはいかがでしょうか。