比較!「離れ」の選択肢 「プレハブ」VS「キャンピングカー」VS「トレーラーハウス」

自宅の敷地内に離れのような空間が欲しい。家を増築する程の事ではないが、メインとなる住居スペースの他に空間を作りたい。そういったニーズに対応する選択肢として挙げられるのが「プレハブ」や「キャンピングカー」や「トレーラーハウス」です。

似ているようでそれぞれに特徴がありますが、一体どれを選択するのが一番良いのか、その概要や具体的なメリット・デメリットについて比較していきましょう。

離れ

いわゆる「離れ」の空間を作りたいケースとは、具体的にどのようなシーンなのでしょうか。既に具体的な用途が決まっている方もいらっしゃると思いますし、これから環境を整えようと思っているが他にもどういった使い方ができるか比較して考えたいという方もいらっしゃるかと思います。

用途

ここでは主に自宅の敷地内に新たに空間を作りたいというニーズを前提としますが、具体的には以下のようなケースが挙げられます。

  • ・テレワークがメインになったので仕事をする為のワークスペースを構築したい
  • ・ピアノ教室や英語教室などを開業する為に新たにスペースを設けたい
  • ・自宅の部屋が不足しているので生活のできる離れを作りたい
  • ・物置を作りたいと思ったが、せっかくなので効率良く空間を活かしたい
  • ・キャンピングカーの購入を検討しているが、せっかくなので離れとしても使いたい

もちろん、この他にも色々な用途が挙げられると思いますが、主なニーズとしてはこういったものが多いかと思います。

増築

冒頭でも触れましたが、新しい空間を構築する為の選択肢としてまず挙げられるのは家の増築かと思います。今メインで使っている家に完全に接した環境として増築を選択するケースもありますし、「離れ」として新たにコンパクトな家を建築するケースもあります。

しかし、“家を建てる”となると一大事。設計から施工、建築までステップを踏んでそれなりにお金もかけなくてはなりません。「それほどはしなくても良いのだけど…」そんな時に考えられるのが「プレハブ」「キャンピングカー」「トレーラーハウス」といった選択肢かと思います。

「プレハブ」「キャンピングカー」「トレーラーハウス」

「離れ」の空間を作りたい場合に“増築”以外の方法として考えられる主な選択肢が「プレハブ」「キャンピングカー」「トレーラーハウス」といったものかと思います。

家を建てる程まではいらないのでプレハブを設置する程度で構わない。
せっかく空間を作るのだからキャンプにも行けるようにキャンピングカーを買ってしまおうかと思っている。
最近よく聞く「トレーラーハウス」が気になっているので選択肢として考えている。

それぞれこのような理由から検討対象となっている事かと思います。もちろんそれぞれにメリットやデメリットがありますので、自分のニーズに最もマッチしているのはどれなのだろうかという事を考えていきましょう。

プレハブ(コンテナハウス)

住居として利用されるプレハブを「コンテナハウス」と呼ぶ事もあります。四角い箱型の空間、というとイメージが湧きやすいのではないでしょうか。

概要

「プレハブ」と聞くと、災害時の仮設住宅などをイメージする方も多いかと思います。一般的にプレハブとは、“構造体や床・壁・窓といったあらゆる建物部品を工場であらかじめ作り上げ、出来上がっている部品を現場で組み立てたもの”を指します。

簡易的で壁も薄いといったイメージはありますが、構造としては軽量鉄骨が採用される事が多く、作り手による技術や経験に左右されずに安定した完成品となる点がポイントです。

メリット

プレハブ住宅を選択するメリットには以下のようなものが挙げられます。

工期が短い

工場で機械的に生産された部品を現地で組み立てるだけなので、注文~着工~完成までの工期が短い点がメリットとして挙げられます。

価格が安い

通常家を建てる時には設計士が設計をして大工さんが施工をして現場監督がいて…といった様に多くの人が携わりますが、工場で部品が大量生産され、現場では短い工期で設置ができるプレハブはそれだけ人件費を抑える事ができる為価格も抑える事ができます。

サイズが選べる

ある程度の規格は決まっていますが、その中から自分の求めるサイズ感のプレハブを選択する事ができます。全体の大きさはもちろんですが、縦×横×高さといった形についても選択する事が出来る点がポイントです。

修繕・リフォーム

シンプルな部品が組み合わさって出来ている為、建物が完成したその後の修繕やリフォームなどのメンテナンスも比較的容易に行う事ができます。

ライフライン

電気や水道といったライフラインについては、既に住宅に引いているものを分配して利用する事もできます。場合によっては新たにメーターを設置する必要がある事も考えられますので、設置後の環境を踏まえて業者に相談してみると良いでしょう。

デメリット

プレハブ住宅を選択する際のデメリットとして挙げられる主なものを紹介します。

耐火性

木造住宅では、ある程度厚みのある木材が使われています。木は火災に弱いイメージもありますが、実は、それなりに厚みのある木材は高温で熱せられたとしても簡単には倒壊しません。それと比較して鉄骨の場合には一定の温度に達すると急激な強度低下が起こる為建物の倒壊の危険性があります。プレハブでは厚みの薄い軽量鉄骨が採用される為、耐火性には不安が残る点に注意が必要です。

間取りの不自由さ

ある程度決まった規格で「箱」空間が構築されるのがプレハブです。その為、デザイン性や間取りといった面では融通が利きにくいというデメリットもあります。部材が規格化されている点からも、間取り・デザインといった部分にはこだわりを持ちにくい事が考えられます。

キャンピングカー

コロナ禍でのキャンプ需要の高まりもあり、今注目を浴びているのがキャンピングカーです。キャンプに行く事もできるし、離れとしても使う事が出来る、そんなイイトコ取りのできそうなアイテムがキャンピングカーです。

概要

キャンピングカーとは、エンジンを搭載した自走式のキャンプ対応車両です。運転席、助手席の空間はコンパクトに、後部は寝泊りの出来るような空間になっており横になって寝泊りする為のベッドはもちろん、簡易的なキッチンを備えている車両も多いです。トイレを設置しているタイプもあり、サイズや設備は割と自由に比較検討する事ができます。

メリット

キャンピングカーを離れとして使う事のメリットには以下のような項目が挙げられます。

設置費用がかからない

キャンピングカーはその名の通り「車両」です。その為、車両本体を購入すればそれ以外の設置費用などはかかりません。住宅の庭に置いていても自動車として扱われますので固定資産税もかかりません

気軽に移動ができる

キャンピングカーを選択肢として考えている方はやはりキャンプに行く手段としても検討している事かと思います。そこがキャンピングカーの最大のメリットでもあり魅力です。家に置いておくだけでなく、キャンプというアクティビティを楽しむ為の手段として使う事が出来る点が魅力です。

中古車両を選択できる

初期費用を抑えたい方は中古車両を探す事が出来る点がメリットです。先人が手を入れて整った整備のあるものやこだわりのデザインの車両から気に入ったものを受け継ぐ事ができます。新車にこだわらなければそれなりに費用を抑えて手に入れる事ができますよ。

デメリット

キャンピングカーを離れとして使う際に挙げられるデメリットとして主なものを紹介します。

用途が限られる

第一の用途がキャンプに行く為の車なので、例えば離れを作って子供向けのお教室を開きたいといったニーズや、生活に困らない住まいとして利用したいといったケースにはサイズ的にも設備的にも不向きです。テレワーク空間程度でしたら構築できるかもしれませんが、用途によって向き・不向きがあります。

ライフラインの引き込み

キャンピングカーでは通常、電気や水道、ガスなどのライフラインは公共の物を引き込んでおらず、水は貯水タンクに貯水し電気はエンジンから発電、またはバッテリーを積載します。一時的な作業空間や1泊程度の寝泊りなら十分対応できますが、電気や水道を多く使う使い方や整った環境での調理などには不向きです。トイレを設置していたとしても排水の処置があり、少々手間となるのが現実です。

トレーラーハウス

こちらも近年話題に上り注目されている車両です。一見プレハブのようですがタイヤがついていて移動もできる、いわゆる“コンテナハウス”の“車両版”といったイメージです。

概要

トレーラーハウスとは、その名の通りトレーラー(車両)とハウス(住居)の良い所取りをしたもので、移動のできるプレハブと言うとイメージがつきやすいかと思います。東日本大震災の時に仮設住宅として活躍し、以来注目されています。

メリット

トレーラーハウスはまだ日本では馴染みが浅いかもしれませんが、実はいくつものメリットがあります。

工期が短い

プレハブと同様に、工場で組み立てられたものをそのまま設置場所まで運びます。プレハブは部品を運んできて現地で組み立てを行いますが、トレーラーハウスは出来上がった状態の車両が牽引車に牽引されて設置場所まで運ばれますのでライフラインの環境整備以外、現地で要する施工期間はほとんどありません。

価格が安い

現場での施工がないので職人などの人件費が不要である点に加え、キャンピングカーのように中古車両も販売されているので初期費用を抑える事ができる点もメリットと言えます。

初期費用の低さに加え、維持費の面でもメリットがあります。トレーラーハウスはキャンピングカーと同様に基本的には車両の扱いになりますので固定資産税がかかりません。住居のように使えて、車程度の税金で済む維持費の安さも大きな魅力と言えます。

サイズ・デザインが豊富

トレーラーハウスはサイズもデザインも豊富です。サイズによっては輸送に制限がかかりいくつかの規制を受けるケースもありますが、その辺りは業者が設置までサポートしてくれるので安心です。自分のニーズに合ったサイズやデザインを選択する事ができます。

内装・設備が充実

プレハブと比較すると、トレーラーハウスは内装にもそれなりにこだわりを持つ事ができます。間取りや設備なども業者と相談しながら決めていく事ができ、納車時には欲しい設備が揃った状態にできるという点もメリットと言えます。

ライフライン

キャンピングカーと比較される事の多いトレーラーハウスですが、その大きな違いの一つにライフライン設備が挙げられます。トレーラーハウスは、一般的な住宅と同様に電気・ガス・水道などのライフライン整備を構築する事が出来ます。プレハブでの説明と同様に、家の離れに設置する場合でも環境によってはメーターなどの設置が必要になりますが、住居のように快適に使いたい場合にはマストの項目と言えるでしょう。

デメリット

トレーラーハウスを離れとして使う際のデメリットとして挙げられる主なものを紹介します。

簡単に移動できない

トレーラーハウスにはタイヤがついています。工場から設置場所までも道路を通ってくるのですが、実はキャンピングカーのようにエンジンを積載している訳ではないので自走はできません。その為、移動する際には牽引車が必要となる点には注意が必要です。サイズによっては特殊な免許もなく普通乗用車での牽引も可能ですので、必要サイズと求めるニーズに照らし合わせて選択しましょう。

建築物に該当しない為の基準がある

トレーラーハウスと言ってもその全てが「車両」の扱いになる訳ではありません。ライフラインとの接続は専用のパーツを採用する必要がある他、その場所から動かす予定がなかったとしても容易く移動ができる為の環境をキープしておく必要があります。基準をクリアしていない場合は「建築物」とみなされ、固定資産税の支払い義務が発生するなど注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
セカンドハウスを検討している、住宅に簡単な離れを作りたい、そういったニーズで比較される「プレハブ」「キャンピングカー」「トレーラーハウス」についてその概要や特徴などを整理しました。それぞれにメリットやデメリットがあります。どのような用途をメインで使いたいのかを明確にし、どれを選ぶ事が最も無駄なく適しているのかを考え、より良い選択ができるよう検討を進めましょう。わからない事があれば、専門の業者に問い合わせをするなどしてぜひ情報を集めてみてくださいね。